タブコントロール

タブコントロール1

図のようなタブコントロールをもつウインドウを作成します。

メニュー - インコのWindowsSDK で作成したソースを修正します。

流れ

タブコントロールは、コモンコントロールですので、下記1、2、3が必要です。

1.commctrl.hをインクルード

2.comctl32.libを読み込む

WM_CREATE

3.InitCommonControlsEx()でコモンコントロールの初期化

4.GetClientRect()でウィンドウのクライアント領域の座標を取得。
取得した座標は、次の5でタブコントロールのウインドウを生成するときに使います。

5. CreateWindowEx()で、タブコントロールのウインドウを生成。

CreateWindowEx()の引数 lpClassName (登録されているクラス名)は、WC_TABCONTROL (タブコントロール)になります。

CreateWindowEx()の引数 dwStyle (ウィンドウスタイル)は下記。 共通のウィンドウスタイル、 タブコントロールのスタイルが使えます。

タブコントロールのスタイル
●以下は、lpClassNameでWC_TABCONTROLを指定したときのみ有効
TCS_SCROLLOPPOSITE 選択されていないタブを反対に移動
TCS_RIGHT タブを右側に表示
「TCS_VERTICAL」と同時に使用
TCS_FLATBUTTONS タブをフラットで表示
TCS_FORCEICONLEFT アイコンを左詰め、真ん中に文字を表示
TCS_FORCELABELLEFT アイコンと文字を左詰め
TCS_HOTTRACK マウスカーソルの下のタブを強調表示
TCS_VERTICAL タブを右側に表示
「TCS_RIGHT」と同時に使用
TCS_TABS デフォルトスタイル
TCS_BUTTONS タブをプッシュボタンとして表示
TCS_SINGLELINE タブが一行で表示(デフォルト)
TCS_MULTILINE 一行で全てのタブを表示できない場合 タブを改行し、複数行で表示します。
TCS_RIGHTJUSTIFY 全てのタブの合計の幅が、タブコントロール全体のサイズになるまで拡大
TCS_FIXEDWIDTH 全てのタブを同じサイズで表示
TCS_RAGGEDRIGHT タブを左詰めで表示
TCS_FOCUSONBUTTONDOWN 「TCS_BUTTONS」を設定した時フォーカスを受け取ります
TCS_OWNERDRAWFIXED オーナードロー
TCS_TOOLTIPS ツールチップ表示
TCS_FOCUSNEVER フォーカスを受け付けません

6.フォントを変更するため、WM_SETFONTメッセージをセット。
GetStockObject()で、システムで定義されているのフォントを取得。

7.INITCOMMONCONTROLSEX()構造体を定義。

8.タブの情報を格納しているTCITEM構造体に必要な情報をセット。

typedef struct tagTCITEM {
    UINT   mask;        // 有効なメンバ
    DWORD  dwState;     // アイテム状態
    DWORD  dwStateMask; // dwStateの有効ビットを示すマスク
    LPTSTR pszText;     // タブの文字列
    int    cchTextMax;  // pszTextのサイズ
    int    iImage;      // イメージインデックス
    LPARAM lParam;      // アプリケーション定義値
} TCITEM, FAR *LPTCITEM;

構造体のメンバー mask の定数 構造体のどのメンバが有効かを示すフラグ
TCIF_TEXT pszTextが有効
TCIF_IMAGE iImageが有効
TCIF_PARAM lParamが有効
TCIF_STATE dwStateが有効

9.TabCtrl_InsertItem()で、タブコントロールにタブを追加

int TabCtrl_InsertItem(
    HWND hwnd,            // タブコントロールのハンドル
    int iItem,            // 追加するタブのインデックス
    const LPTCITEM pitem  // TCITEM構造体のポインタ
);

TabCtrl_InsertItem()の代わりに、SendMessage(hwnd, TCM_INSERTITEM, iItem, pitem)を使うこともできます。

WM_SIZE

1.GetClientRect()でウィンドウのクライアント領域の座標を取得。
クライアント領域とは、タイトルバー、メニューバー、 ツールバー、ステータスバー、ウィンドウ枠、スクロールバーを除いた領域のこと。

2.TabCtrl_AdjustRect()で、タブコントロールのウィンドウ領域から表示領域を計算

VOID TabCtrl_AdjustRect(
    HWND hwnd,    // タブコントロールのハンドル
    BOOL fLarger, // 
    RECT *prc     // RECT構造体
);

TabCtrl_AdjustRect()の代わりに、SendMessage(hwnd, TCM_ADJUSTRECT, fLarger, *prc)を使うこともできます。

fLarger どちら向きに変換するのかを指定
FALSE コントロールウィンドウ領域を表示領域に変換
TRUE 表示領域をコントロールウィンドウ領域に変換
*prc 変換前の領域を格納したRECT構造体のアドレスを指定
関数実行後は、この構造体には変換後の領域が格納されます。

3.MoveWindow()で、タブコントロールのウインドウサイズを変える。

TCN_SELCHANGE(WM_NOTIFYメッセージ形式)

TCN_SELCHANGEメッセージは、タブコントロールの親ウィンドウに、選択されているタブが変更されたことを通知します。
この通知メッセージはWM_NOTIFYメッセージ形式で送信されます。

1.InvalidateRect()を実行することで、WM_PAINTメッセージを発生させて、タブコントロールを再描画します。

2.TabCtrl_GetCurSel()で、現在選択されているタブのインデックスを取得

int TabCtrl_GetCurSel(
    HWND hwnd
);

SendMessage(hwnd, TCM_GETCURSEL, 0, 0)と同等。

TCN_SELCHANGING(WM_NOTIFYメッセージ形式)

TCN_SELCHANGINGメッセージは、タブコントロールの親ウィンドウに、選択されているタブが変更されることを通知します。
この通知メッセージはWM_NOTIFYメッセージ形式で送信されます。

1.TabCtrl_GetCurSel()で、現在選択されているタブのインデックスを取得。

WM_GETMINMAXINFO

WM_GETMINMAXINFOメッセージは、ウィンドウのサイズまたは位置を変更しようとしているときに、そのウィンドウに送られます。

WM_GETMINMAXINFOメッセージが発生した時に、現在の関数 WndProc() の引数、wParam、lParamには下記がセットされます。

WM_GETMINMAXINFOメッセージのwParam: 常に0
WM_GETMINMAXINFOメッセージのlParam: データを受け取るMINMAXINFO構造体のポインタ

1.LPMINMAXINFO構造体のメンバptMinTrackSizeに、ウインドウサイズの最小値をセット。
ウインドウサイズの最小値は、先ほど取得した MINMAXINFO構造体のポインタから取得します。

typedef struct tagMINMAXINFO {
    POINT ptReserved;     // 予約済み
    POINT ptMaxSize;      // 最大化ボタンを押した時の大きさ
    POINT ptMaxPosition;  // 最大サイズの時の左上の座標
    POINT ptMinTrackSize; // マウスで大きさを変えた時の最小ウインドウサイズ
    POINT ptMaxTrackSize; // マウスで大きさを変えた時の最大ウインドウサイズ
} MINMAXINFO, *PMINMAXINFO, *LPMINMAXINFO;

LPMINMAXINFO構造体のメンバは、すべて座標を格納する構造体であるPOINT構造体になっています。

ソースコードの入力

ソースコードは下記のように入れてください。

test.cpp
#include <windows.h>
#include <commctrl.h>
#include "resource.h"

#define X_MIN 240
#define Y_MIN 177

#pragma comment(lib, "comctl32.lib")      // ステータスバーの作成に必要

// グローバル変数:
HINSTANCE hInst;                          // 現在のインターフェイス
HWND hTab;            // タブコントロールのハンドル

// このコード モジュールに含まれる関数の宣言を転送します:
ATOM MyRegisterClass(HINSTANCE hInstance);
BOOL InitInstance(HINSTANCE, int);
LRESULT CALLBACK WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM);

int APIENTRY WinMain(HINSTANCE hInstance,
                     HINSTANCE hPrevInstance,
                     LPSTR lpCmdLine,
                     int nCmdShow)
{
    MSG msg;
    MyRegisterClass(hInstance);

    // アプリケーションの初期化を実行します:
    if (!InitInstance (hInstance, nCmdShow))
    {
        return FALSE;
    }
    // メイン メッセージ ループ:
    while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0))
    {
        TranslateMessage(&msg);
        DispatchMessage(&msg);
    }
    return (int) msg.wParam;
}

//
//  関数: MyRegisterClass()
//
//  目的: ウィンドウ クラスを登録します。
//
ATOM MyRegisterClass(HINSTANCE hInstance)
{
    WNDCLASSEX wcex;

    wcex.cbSize = sizeof(WNDCLASSEX);

    wcex.style = CS_HREDRAW | CS_VREDRAW;
    wcex.lpfnWndProc = WndProc;
    wcex.cbClsExtra = 0;
    wcex.cbWndExtra = 0;
    wcex.hInstance = hInstance;
    wcex.hIcon = LoadIcon(NULL , IDI_APPLICATION);
    wcex.hCursor = LoadCursor(NULL, IDC_ARROW);
    wcex.hbrBackground = (HBRUSH)(COLOR_WINDOW+1);
    wcex.lpszMenuName = MAKEINTRESOURCE(IDC_HP);
    wcex.lpszClassName = TEXT("HP");
    wcex.hIconSm = LoadIcon(NULL , IDI_APPLICATION);

    return RegisterClassEx(&wcex);
}

//
//   関数: InitInstance(HINSTANCE, int)
//
//   目的: メイン ウィンドウを作成します。
//
BOOL InitInstance(HINSTANCE hInstance, int nCmdShow)
{
   HWND hWnd;

   hInst = hInstance; // グローバル変数にインスタンス処理を格納します。

   hWnd = CreateWindow(TEXT("HP"), TEXT("HP"), WS_OVERLAPPEDWINDOW,
      CW_USEDEFAULT, 0, CW_USEDEFAULT, 0, NULL, NULL, hInstance, NULL);

   if (!hWnd)
   {
      return FALSE;
   }

   ShowWindow(hWnd, nCmdShow);
   UpdateWindow(hWnd);

   return TRUE;
}

//
//  関数: WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM)
//
//  目的:  メイン ウィンドウのメッセージを処理します。
//
//  WM_CREATE  - ウインドウ作成時の処理
//  WM_SIZE    - ウインドウサイズ変更時の処理
//  WM_GETMINMAXINFO - ウインドウサイズ・位置変更時の処理
//  WM_COMMAND - アプリケーション メニューの処理
//  WM_DESTROY - 中止メッセージを表示して戻る
//
//
LRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT message, WPARAM wParam, LPARAM lParam)
{
    int wmId, wmEvent;
    int nTab;
    static RECT rc;
    TCITEM ti;
    INITCOMMONCONTROLSEX ic;
    LPMINMAXINFO lpmm;

    switch (message)
    {
        case WM_CREATE:
            ic.dwSize = sizeof(INITCOMMONCONTROLSEX);
            ic.dwICC = ICC_TAB_CLASSES;
            InitCommonControlsEx(&ic);
            GetClientRect(hWnd, &rc);
            hTab = CreateWindowEx(0,
                WC_TABCONTROL, TEXT(""), 
                WS_CHILD | WS_CLIPSIBLINGS | WS_VISIBLE , 
                0, 0, rc.right, rc.bottom, 
                hWnd, (HMENU)ID_TAB, hInst, NULL);
            SendMessage(hTab, WM_SETFONT, (WPARAM)GetStockObject(DEFAULT_GUI_FONT), 0);
            ti.mask = TCIF_TEXT;
            ti.pszText = TEXT("タブ0");
            TabCtrl_InsertItem(hTab, 0, &ti);
            ti.pszText = TEXT("タブ1");
            TabCtrl_InsertItem(hTab, 1, &ti);
            ti.pszText = TEXT("タブ2");
            TabCtrl_InsertItem(hTab, 2, &ti);
            break;
        case WM_SIZE:
            GetClientRect(hWnd, &rc);
            TabCtrl_AdjustRect(hTab, FALSE, &rc);
            MoveWindow(hTab, 0, 0, LOWORD(lParam), HIWORD(lParam), TRUE);
            break;
        case WM_NOTIFY:
            switch (((NMHDR *)lParam)->code) {
                case TCN_SELCHANGE:
                    InvalidateRect(hTab, NULL, TRUE);
                    nTab = TabCtrl_GetCurSel(hTab);
                    break;
                case TCN_SELCHANGING:
                    nTab = TabCtrl_GetCurSel(hTab);
                    break;
            }
            break;
        case WM_GETMINMAXINFO:
            lpmm = (LPMINMAXINFO)lParam;
            lpmm->ptMinTrackSize.x = X_MIN;
            lpmm->ptMinTrackSize.y = Y_MIN;
            break;
        case WM_COMMAND:
            wmId = LOWORD(wParam);
            wmEvent = HIWORD(wParam);
            // 選択されたメニューの解析:
            switch (wmId)
            {
                case IDM_EXIT:
                    DestroyWindow(hWnd);
                    break;
                default:
                    return DefWindowProc(hWnd, message, wParam, lParam);
            }
            break;
        case WM_DESTROY:
            PostQuitMessage(0);
            break;
        default:
            return DefWindowProc(hWnd, message, wParam, lParam);
    }
    return 0;
}

上記の太線で示している箇所のみ追加です。

resource.h

#define ID_TAB 1001
#define IDM_ABOUT 104
#define IDM_EXIT 105
#define IDC_HP 109

上記の太線で示している箇所のみ追加です。

test.rc リソースファイル (変更なし)
#include "resource.h"

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
//
// メニュー
//

IDC_HP MENU
BEGIN
    POPUP "ファイル(&F)"
    BEGIN
        MENUITEM "アプリケーションの終了(&X)", IDM_EXIT
    END
    POPUP "ヘルプ(&H)"
    BEGIN
        MENUITEM "バージョン情報(&A)...", IDM_ABOUT
    END
END