DLL(ダイナミックライブラリ)を呼び出す

DLL(ダイナミックライブラリ、ダイナミックリンクライブラリ、動的ライブラリ)を使ったアプリケーションを作成します。
DLLとは、汎用性の高いプログラムを部品化して、DLLファイルとして作成されたものです。 EXEファイルは、単体で実行できますが、DLLファイルは、他のアプリケーションから呼び出して使用します。 DLL単体では、実行できません。

今回は、lzh形式の圧縮・解凍ライブラリである、UNLHA32.DLLを使います。

dll1

UNLHA32.DLLのバージョンを表示させます。
アプリケーションの実行にはUNLHA32.DLLが必要です。Windowsシステムフォルダに入れてください。

64bitのWindowsでは、UNLHA32.DLLを C:\Windows\SysWOW64 に入れてください。

UNLHA32.DLLがない状態でアプリケーションを実行すると、エラーが出るようにします。

WM_PAINTメッセージ - インコのWindowsSDK を修正します。

流れ

1.UNLHA32.DLL、UNLHA32.Hを入手します。UNLHA32.Hは、ソースファイルと同じ場所に保存してください。
UNLHA32.DLLはウインドウズのシステムフォルダに入れてください。

2.tchar.h、stdio.hをインクルードします。(_stprintf_s()で使用します。)

3、UNLHA32.Hをインクルードします。

4,DLL内の呼び出したい関数へのポインタを、typedefで定義します。
ここでは、PUNLHAGETVERSION型という名称にします。型の名称は自由に決めることができます。

WM_CREATE

1.GetSystemDirectory()Windowsシステムフォルダのパスを取得します。
Windowsシステムフォルダは、Windowsのバージョンにより異なります。

UINT GetSystemDirectory(
  LPTSTR lpBuffer,  // Windowシステムフォルダのパスを保存する変数
  UINT uSize        // 上記変数のサイズ
);

2.wsprintf()で、ファイル名(ここではUNLHA32.DLL)をセット。

int wsprintf(
    LPTSTR lpOut,    // 出力バッファ
    LPCTSTR lpFmt,   // 書式制御文字列
    ...              // オプションの引数
);

3.LoadLibrary()で、DLLをロードします。

HMODULE LoadLibrary(
  LPCTSTR lpFileName   // DLLのファイル名
);

※ 任意のDLL/実行ファイル読み込みに関する脆弱性に関する注意点:
上記の1.〜3.のようにシステムフォルダのパスを取得しなくても、パスを指定せずに、 LoadLibrary(TEXT("UNLHA32.DLL"))と1行にまとめても、見かけ上問題なく動作します。
DLLを検索する順番は、
・アプリケーション(EXE)のあるフォルダ
・Windowsシステムフォルダ
・Windowsフォルダ
・ユーザーが作業をしているフォルダ(カレントディレクトリ)
・環境変数 PATH に記述されているフォルダ
です。Windowsのバージョン、サービスパックにより優先順位は前後します。

しかしながら、DLLが優先して読み込まれるフォルダに、同名の偽物 DLL ファイルを配置してしまうと、その偽 DLLが優先して読み込まれてしまうため、偽DLLに含まれた悪意あるコードが実行されてしまいます。
これが「任意のDLL/実行ファイル読み込みに関する脆弱性」です。

DLLは、必ずパスを指定するようにしましょう。

4.DLLをロードできなかった場合、LoadLibrary()の戻り値がNULLになるので、エラー表示をします。

5.GetProcAddress()DLLが持つ、指定された関数(ここではUnlhaGetVersion)のアドレスを取得します。
戻り値は、関数のアドレスなので、これを用意した変数(ここでは、PUNLHAGETVERSION型のfpTestFunc)にセットします。

FARPROC GetProcAddress(
  HMODULE hModule,    // DLL モジュールのハンドル
  LPCSTR lpProcName   // 関数名
);

6.UNLHA32.Hで定義されている関数UnlhaGetVersion()を実行し、UNLHA32.DLLのバージョンを取得します。

7._stprintf_s()で画面に表示する文字を変数(ここではlpBuffer)に保存します。

8.FreeLibrary()ロードしたDLLを、メモリから開放します。

BOOL FreeLibrary(
  HMODULE hModule   // DLLモジュールのハンドル
);

ソースコードの入力

ソースコードは下記のように入れてください。

test.cpp
#include <windows.h>
#include <tchar.h>
#include <stdio.h>
#include "resource.h"
#include "UNLHA32.H"
// グローバル変数:
TCHAR strPath[MAX_PATH + 1];              // DLLのパス
HINSTANCE hLib;                           // インスタンスハンドル

// このコード モジュールに含まれる関数の宣言を転送します:
ATOM MyRegisterClass(HINSTANCE hInstance);
BOOL InitInstance(HINSTANCE, int);
LRESULT CALLBACK WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM);
typedef WORD (*PUNLHAGETVERSION)(void);    // DLL内の関数へのポインタ

int APIENTRY WinMain(HINSTANCE hInstance,
                     HINSTANCE hPrevInstance,
                     LPSTR lpCmdLine,
                     int nCmdShow)
{
    MSG msg;
    MyRegisterClass(hInstance);

    // アプリケーションの初期化を実行します:
    if (!InitInstance (hInstance, nCmdShow))
    {
        return FALSE;
    }
    // メイン メッセージ ループ:
    while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0))
    {
        TranslateMessage(&msg);
        DispatchMessage(&msg);
    }
    return (int) msg.wParam;
}

//
//  関数: MyRegisterClass()
//
//  目的: ウィンドウ クラスを登録します。
//
ATOM MyRegisterClass(HINSTANCE hInstance)
{
    WNDCLASSEX wcex;

    wcex.cbSize = sizeof(WNDCLASSEX);

    wcex.style = CS_HREDRAW | CS_VREDRAW;
    wcex.lpfnWndProc = WndProc;
    wcex.cbClsExtra = 0;
    wcex.cbWndExtra = 0;
    wcex.hInstance = hInstance;
    wcex.hIcon = LoadIcon(NULL , IDI_APPLICATION);
    wcex.hCursor = LoadCursor(NULL, IDC_ARROW);
    wcex.hbrBackground = (HBRUSH)(COLOR_WINDOW+1);
    wcex.lpszMenuName = MAKEINTRESOURCE(IDC_HP);
    wcex.lpszClassName = TEXT("HP");
    wcex.hIconSm = LoadIcon(NULL , IDI_APPLICATION);

    return RegisterClassEx(&wcex);
}

//
//   関数: InitInstance(HINSTANCE, int)
//
//   目的: メイン ウィンドウを作成します。
//
BOOL InitInstance(HINSTANCE hInstance, int nCmdShow)
{
   HWND hWnd;

   hWnd = CreateWindow(TEXT("HP"), TEXT("HP"), WS_OVERLAPPEDWINDOW,
      CW_USEDEFAULT, 0, CW_USEDEFAULT, 0, NULL, NULL, hInstance, NULL);

   if (!hWnd)
   {
      return FALSE;
   }

   ShowWindow(hWnd, nCmdShow);
   UpdateWindow(hWnd);

   return TRUE;
}

//
//  関数: WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM)
//
//  目的:  メイン ウィンドウのメッセージを処理します。
//
//  WM_CREATE  - ウインドウ作成時の処理
//  WM_COMMAND - アプリケーション メニューの処理
//  WM_PAINT   - メイン ウィンドウの描画
//  WM_DESTROY - 中止メッセージを表示して戻る
//
//
LRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT message, WPARAM wParam, LPARAM lParam)
{
    int wmId, wmEvent;
    PAINTSTRUCT ps;
    HDC hdc;
    static TCHAR lpBuffer[128];
    WORD wVer;
    PUNLHAGETVERSION fpTestFunc;

    switch (message)
    {
        case WM_CREATE:
            // DLL読み込み
            GetSystemDirectory(strPath, MAX_PATH + 1);
            wsprintf(strPath, TEXT("%s\\%s"), strPath, TEXT("UNLHA32.DLL"));
            hLib = LoadLibrary((LPCTSTR)strPath);
            if(hLib == NULL){
                MessageBox(hWnd, TEXT("UNLHA32.DLLが見つかりません"), TEXT("エラー"), MB_OK );
            }
            else{
                fpTestFunc = (PUNLHAGETVERSION)GetProcAddress(hLib, "UnlhaGetVersion");
                wVer = (*fpTestFunc)(); // DLLからバージョン取得
                _stprintf_s(lpBuffer, sizeof(lpBuffer),
                  TEXT("UNLHA32.DLL のバージョン: %1.2f"), (double)wVer / 100.0);
                FreeLibrary(hLib);
            }
            break;

        case WM_COMMAND:
            wmId = LOWORD(wParam);
            wmEvent = HIWORD(wParam);
            // 選択されたメニューの解析:
            switch (wmId)
            {
                case IDM_EXIT:
                    DestroyWindow(hWnd);
                    break;
                default:
                    return DefWindowProc(hWnd, message, wParam, lParam);
            }
            break;
        case WM_PAINT:
            hdc = BeginPaint(hWnd, &ps);
            TextOut(hdc, 10, 10, lpBuffer, _tcslen(lpBuffer));
            EndPaint(hWnd, &ps);
            break;
        case WM_DESTROY:
            PostQuitMessage(0);
            break;
        default:
            return DefWindowProc(hWnd, message, wParam, lParam);
    }
    return 0;
}

上記の太線で示している箇所のみ追加です。

resource.h (変更なし)
#define IDM_ABOUT 104
#define IDM_EXIT 105
#define IDC_HP 109

test.rc リソースファイル (変更なし)
#include "resource.h"

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
//
// メニュー
//

IDC_HP MENU
BEGIN
    POPUP "ファイル(&F)"
    BEGIN
        MENUITEM "アプリケーションの終了(&X)", IDM_EXIT
    END
    POPUP "ヘルプ(&H)"
    BEGIN
        MENUITEM "バージョン情報(&A)...", IDM_ABOUT
    END
END

任意のDLL/実行ファイル読み込みに関する脆弱性について

DLL読み込み脆弱性対策のため、本サイトを更新いたしました。
対策前よりかなり複雑なソフトウエアになりましたが、わかりやすさより、脆弱性対策を優先させました。

このサイトを見てアプリケーションを作成され、配布をされている方は、修正をお願いいたします。

参考URL: 情報処理推進機構 プレス発表 任意のDLL/実行ファイル読み込みに関する脆弱性の注意喚起
http://www.ipa.go.jp/about/press/20101111.html

(2010/11/13更新)